健康診断や人間ドックで「ピロリ菌陽性(疑い)」と判定されたり、ご家族がピロリ菌に感染していたりして不安になっていませんか?
「特に症状もないし、そのうち行けばいいか」と放置してしまうのは非常に危険です。
なぜなら、現在の疫学調査において、胃がんの大部分(約98%〜99%)が「ピロリ菌」の感染(過去の感染を含む)と関連していることが分かっているからです。ピロリ菌に感染したことのない人(未感染者)から胃がんが発生することは極めて稀です。
※出典:Uemura N, et al. N Engl J Med. 2001 ほか
特に、日本海側の新潟県〜東北地方にお住まいの方は、他県に比べてピロリ菌の感染率が高い傾向にあるという疫学的なデータがあり、注意が必要です。
今回は、ピロリ菌が引き起こす病気のリスクと、専門医が推奨する「精度が高く、苦痛の少ない検査方法」について解説します。
ピロリ菌の感染経路(どうして感染するの?)
どのようにして感染するかは完全には解明されていませんが、現在では多くの場合で家族間で感染すると考えられています。
およそ8割が家族内感染、家族外感染が2割ぐらいとされています。
基本的には、唾液を介しての感染と考えられています。口移しで離乳食を食べさせる事が多かった時代には、両親がピロリ菌陽性であった場合は家族内感染の原因となっていたと考えられています。
現在は虫歯の予防のため、口移しでの離乳食を食べさせることが減っていますので、このような要因もピロリ菌罹患率の低下に繋がっていると考えられています。
ピロリ菌の世代別感染率では、日本人の50代以上は40%程度、40歳代は20%程度、19歳以下で5〜10%前後の人がピロリ菌に感染しているという報告があります。
高い年齢ほど感染率が高いのは、この世代の衛生環境が原因とされます。特にピロリ菌に汚染された井戸水などを使用していたことが原因の一つと言われています。
ピロリ菌を放置するとどうなる?(最大のリスク)
ピロリ菌に感染していても、初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、菌は胃の粘膜を傷つけ続け、以下のような病気を引き起こします。
- 慢性胃炎・萎縮性胃炎
胃の粘膜に持続的な炎症が起こり、粘膜が薄くなる状態です。 - 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
粘膜が欠損してバリアが破壊されることで、痛みや出血することがあります。 - 胃がん(最も怖いリスク)
長年の炎症によって遺伝子が傷つき、がん細胞が発生します。ピロリ菌を除菌することで、胃がんになるリスクを3分の1〜半分程度まで減らせるというデータもあります。
※出典:Fukase K, et al. Lancet. 2008;372(9636):392-7.
ピロリ菌の検査には「胃カメラ」が必要です
胃がんリスクを正確に判定するためには、除菌前の胃カメラ検査が必須です。
当院では、専門医による「苦しくない胃カメラ」を行っています。
当院の「苦しくない胃カメラ」を見る >
【重要】除菌治療には「胃カメラ」が必須です
ここが患者さんが一番迷われるポイントですが、日本の保険診療のルールでは、「ピロリ菌がいるかどうかの検査・除菌治療」を保険(3割負担など)で行うためには、必ず「胃カメラ(内視鏡検査)」を受けなければならないと決まっています。
「採血や息の検査だけで薬をくれればいいのに」と思われるかもしれませんが、これには消化器専門医として明確な理由があります。
- 早期発見の一番良いタイミングだから
除菌治療を行う前の胃粘膜は、ピロリ菌による慢性活動性胃炎の状態にあり、この時が実は一番内視鏡で早期胃がんを見つけやすいタイミングだからです。 - 将来のリスクを見極めるため
除菌前に「萎縮性胃炎」や「化生性胃炎(腸上皮化生)」がどの程度進んでいるかを評価することで、除菌後に「どれくらいの頻度で定期検査を受けるべきか(1年に1回か、数年に1回か)」を正確に決めることができます。 - すでに「がん」ができていないか確認するため
万が一、すでに胃がんができている状態で除菌だけを行っても、がんの治療にはなりません。
検査方法は「鼻」か「口」か選べます
当院では、患者さんのライフスタイルやご希望に合わせて、2種類の検査方法を用意しています。
1. 【おすすめ】鎮静剤 × 高性能経口内視鏡(口から)
「とにかく楽に、かつ精密に検査を受けたい」という方には、こちらを強くおすすめしています。
私(院長)自身も毎年胃カメラを受けていますが、必ずこの方法を選んでいます。
理由はシンプルで、高性能な内視鏡を使ったほうが画質が良く、微細な早期胃がんの発見には圧倒的に有利だからです。
鎮静剤を使うため、ウトウトと眠っている間に検査が終わります。「気づいたら終わっていた」という方がほとんどです。
ただし、検査当日は車の運転ができなくなる(送迎が必要)という点がデメリットです。
2. お車で来院されるなら「経鼻内視鏡(鼻から)」
「どうしても自分で運転して帰らなければならない」という方は、鼻からのカメラを選べます。
直径5mm程度の極細カメラを使用するため、口からのカメラ(鎮静剤なし)に比べると、オエッとなる反射(嘔吐反射)は格段に少ないのが特徴です。
ただし、初めての方にとっては「鼻からなら無痛で楽勝」とは言えないのも事実です。あくまで「嘔吐反射が少ない」「車で来院できる」というメリットで選ばれる方法だとお考えください。
どっちがいいの?
ピロリ菌によるリスク(萎縮やがん)をしっかり見極めるためには、画質が良く、拡大観察もできる「経口内視鏡」が医学的にはおすすめです。
もちろん無理強いはしません。患者さんの状況に合わせて相談して決めていますので、詳しいことは外来でもご説明します。
治療の流れ(除菌はとても簡単です)
胃カメラで胃の状態を確認し、ピロリ菌がいると診断されたら、治療はシンプルです。
ステップ1:お薬を1週間飲む(一次除菌)
胃酸を抑える薬と、2種類の抗生物質(合計3種類)を、朝・夕の1日2回、7日間飲み続けます。これだけで約90%の方は菌が消えます。
ステップ2:判定検査(約2ヶ月後)
お薬を飲み終わってから2ヶ月以上あけて、本当に菌が消えたかどうかを確認します。
当院では、「便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査(検便)」を採用しています。
便を採取するだけの負担の少ない検査でありながら、最も感度(菌を見つける力)と特異度(正確性)が高く、利便性も高いためです。
※万が一、1回目で消えなかった場合は、お薬の種類を変えて「二次除菌」を行います。二次除菌までは保険が適用されます。
あわせて読みたい:慢性胃炎とは?
放置すると怖い「萎縮性胃炎」や「腸上皮化生」について詳しく解説しています。
家族への感染を防ぐためにも
ピロリ菌は家庭内で感染することがあります。
もしあなたが陽性だった場合、同じ食事や生活環境で育ったご兄弟、あるいはあなたの小さなお子さんやお孫さんにも影響があるかもしれません。
ご自身が治療して菌をなくすことは、大切なご家族の健康を守る第一歩でもあります。
まとめ:先延ばしにせず、早めの受診を
「ピロリ菌がいるかも」と分かった時が、治療のベストタイミングです。
胃粘膜の萎縮が進みきってしまう前に除菌をすれば、それだけ胃がんのリスクを低く抑えることができます。
当院では、消化器内科の専門医が、診断から除菌判定まで責任を持ってサポートします。
「胃カメラが怖い」という方も、まずは一度ご相談ください。あなたに合った一番楽な方法をご提案します。
消化器専門医にご相談ください
「この程度の胃痛で病院に行っていいのかな?」と迷う必要はありません。
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