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消化器内科

虚血性腸炎とは?腹痛と血便が特徴的

虚血性腸炎とは?

虚血性大腸炎は、何らかの原因で突然、大腸の血流循環が一過性に障害されることで大腸粘膜に炎症が生じて、粘膜が障害されることで血便や腹痛が起こる疾患です。虚血性大腸炎の好発部位は身体の左側の大腸(S状結腸、下行結腸)です。解剖学的に大腸は上腸間膜動脈と下腸間膜動脈の2つの動脈により栄養されています。下行結腸は上記2動脈の栄養領域の境界にあるため血流供給が減りやすく、そのため本疾患の好発部位と言われています。

典型的な症状

  1. 突然の腹痛(詳細に痛みがあった時刻を記憶されている患者さんが多いです。多くは腹部の左側〜下腹部に痛みが生じます)
  2. 繰り返す排便(人によっては10回以上排便があることも稀ではありません)
  3. 便意が落ち着いた最後に血便が出てくる

このような症状があれば、まず虚血性大腸炎を疑います。

主な原因

便秘が最も大きな原因です

虚血性大腸炎は便秘症のある高齢女性に多い疾患です。ただ年齢に関係なく、若い方でも、男性でもなることがあります。排便時に強くいきむと腹圧がかかり、大腸への血流が低下することが考えられています。大腸粘膜が血流障害によって傷つき、下痢を繰り返すなかで鮮血の血便が出る場合も多いです。腹痛と血便があるため、患者さんはとても心配して外来にお見えになることが多いです。

また血便とならず腹痛のみで病院に来ない間に自然に改善している人もいると思われます。

動脈硬化の原因となる基礎疾患がある人

高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病があって、全身の血管に動脈硬化が進行していることがあります。このような場合には虚血性大腸炎の原因となります。元々細くなっているところに、便秘や脱水など血流障害となる原因が加わり発症します。

検査方法

診断は腹部エコーが簡便で有効です。虚血性腸炎では下行結腸やS状結腸の壁肥厚を認めることが多いため、エコーで描出できれば、自覚症状と合わせて確定診断できます。

急性期に大腸カメラ検査を行う場合もありますが、基本的に自覚症状が改善して1ヶ月以上してから大腸カメラを薦めています。急性期は腹痛が強いため、確認のため少しだけ大腸カメラを挿入しても、全ての大腸を観察できないためです。

また急性期には大腸洗浄液の内服はとても危険なため、原則症状が完全に改善して1ヶ月以上明けてから大腸カメラ検査を薦めています。

治療方法と経過について

虚血性大腸炎の予後は良好で、多くの場合は外来での治療が可能です。しかし「食事ができない」「水も飲めない」ほど虚脱が強い場合は入院による治療が必要な場合もあります。特に心臓や脳の病気などで、血液を固まりにくくするお薬を内服している場合は入院して治療することが多いです。治療期間は長くても10日〜14日程度で改善することがほとんどです。

症状が改善した後は、便秘症の治療を行います。便秘がひどければ再発しやすいからです。

また動脈硬化症の原因となる疾患の合併がある場合は、それらの治療も並行して行います。

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