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消化器内科

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に炎症が起き、びらんや潰瘍を形成する病気です。この病気の最大の特徴は、直腸(肛門付近)から炎症が起き、口側の大腸に連続的に広がる性質があることです。炎症の範囲が最も狭い方を直腸炎型、S状結腸〜下行結腸まで炎症が広がった方を左側大腸炎型、横行結腸よりさらに口側に炎症が広がった方を全大腸炎型と呼びます。主な症状は下痢、粘血便、腹痛、発熱、体重減少などで、症状が現れる活動期と症状がなくなる緩解期を繰り返すことがあります。発症が多いのは20~30歳代ですが、40~60歳代の中高年での発症も珍しくありません。良くなったり、悪くなったりを繰り返す原因不明の慢性疾患で、わが国では指定難病に指定されています。

潰瘍性大腸炎の原因は?

大腸粘膜に対する過剰な免疫反応があることまではわかっていますが、遺伝や食生活、腸内細菌叢の状態、ストレスなどが複雑に影響し合って発症すると考えられていて原因は明らかになっていません。潰瘍性大腸炎は家族内での発症も認められており、何らかの遺伝的因子が関与していると考えられています。欧米では患者さんの約20%に炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎あるいはクローン病)の近親者がいると報告されています。近年、世界中の研究者によりこの病気の原因を含めた特異的な遺伝子の探索が続けられていますが、現時点では遺伝に関する明解な回答は得られていません。遺伝的要因と食生活などの環境要因などが複雑に絡み合って発病するものと考えられています。

潰瘍性大腸炎の症状

下痢(便が軟らかくなって、回数が増えること)や粘血便、粘液便などが認められます。間欠的であったり持続的な腹痛を伴うこともあります。重症になると発熱、体重減少、貧血などの全身の症状が起こります。また、腸管以外の合併症として、皮膚の症状(壊疽性膿皮症など)、関節や眼の症状が出現することもあります。

潰瘍性大腸炎の検査

まず貧血や炎症反応を確認するため、血液検査を行います。そして血性下痢を引き起こす感染性腸炎を鑑別することが必要です。下痢の原因となる細菌や他の感染症も、大腸カメラ検査のときに組織を採取して顕微鏡で調べる病理検査(生検組織検査)や粘膜培養検査を同時に行うこともあります。

確定診断された後でも、治療中断したり、定期的な検査をせず、潰瘍性大腸炎がコントロール不良な状態で長期間経過すると大腸癌の発生リスクが高くなるとも言われています。状態が安定している場合も定期的な大腸カメラ検査を行い良好なコントロールが得られるまで治療薬の調整などを行なってゆくことが一般的です。

大腸カメラ検査

潰瘍性大腸炎の治療

5-アミノサリチル酸製剤(サラゾピリン、ペンタサ、アサコール)の内服と坐剤(注腸剤)および整腸剤中心に治療を行い、寛解導入(症状が落ち着くこと)が得られない場合はステロイド薬の投与を行います。

病状が重症であれば入院の上で絶食・高カロリー輸液を行いつつ、高用量ステロイド投与を行なったり、サイトメガロウイルス腸炎の合併が無いか大腸カメラで調べたりします。

ステロイド抵抗性の場合は、タクロリムスの内服や生物学的製剤を用いることもあります。一度寛解が得られれば、再度寛解維持のためにアザチオプリン(イムラン)の併用なども行いステロイドフリーを目指して治療を行います。

症状が劇症で治療に難渋する場合は、顆粒球除去療法(GCAPやLCAPなどといった、透析のような血液浄化療法)を検討する場合もあります。このような治療でも改善せず、中毒性巨大結腸症を認める場合には、大腸全摘出術も検討されます。

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