7月に入り、暑い日が増えてきました。水分補給の大事なこの季節ですが、水分補給にも注意してほしいことがあります。
特に患者さんにこの時期によく説明する内容についてお話ししたいと思います。
「スポーツドリンク」・「経口補水液」は、常に体に良い飲み物で良いのか?
「スポーツドリンク」・「経口補水液」は、「汗で失われた水分や電解質を補給する飲み物」として作られています。
そのため、「体に良さそう」というイメージを持たれている方も多いでしょう。
しかし、多くのスポーツドリンクには糖分(糖質)が比較的多く含まれています。
例えば500mLのスポーツドリンクには、角砂糖に換算するとおよそ7~8個分程度の糖分が含まれているものもあります。
暑い日に500mLを1本飲む程度であれば問題にならないことも多いですが、
1日に2本、3本と繰り返し飲む習慣になると、糖質の摂取量はかなり多くなります。
その結果、血糖値が大きく上昇し、糖尿病の悪化につながることがあります。
夏になると血糖値が悪化する患者さんがいる事実
外来をしていると、毎年夏になるとそれまで安定していた血糖値やHbA1cが悪化してしまう患者さんが一定数おられます。
よくよく話を伺うと、「暑かったのでスポーツドリンクばかり飲んでいました。」ということが実際によくあります。
暑くなると水分補給の警告がよくありますので、
「塩分などを含んでいるスポーツドリンクは体に良い」という気持ちになるは自然な発想だと思いますが、
これが悪者のことがよくあるのです。
「ペットボトル症候群」とは?
「ペットボトル症候群」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、糖分を多く含む飲み物を大量に飲み続けることで、
血糖値が著しく上昇し、体の代謝が大きく乱れてしまう状態です。
血糖値が非常に高くなると、尿から大量の糖と水分が失われ、脱水が進みます。
さらに、体が十分に糖を利用できなくなると、脂肪を分解してエネルギーを作ろうとするため、
「ケトン体」という物質が増えます。
この状態が進行すると糖尿病性ケトアシドーシスと呼ばれる重い病気になることがあります。
また、高齢の方では高浸透圧高血糖症候群という、強い脱水と高度の高血糖を起こす状態になることもあります。
どちらも入院治療が必要になることがあるため、決して軽く考えてはいけません。
熱中症予防には何を飲めばいいのでしょうか?
熱中症予防そのものはとても重要です。
しかし、普段の水分補給は、水・お茶・麦茶を基本にしましょう。
一方で、
- 炎天下で長時間仕事をする
- 屋外でスポーツをする
- 大量の汗をかく
このような場面では、水分だけでなく塩分や電解質も失われるため、
スポーツドリンクが役立つことがありますが、糖尿病や血糖値が高めと言われたことのある人は、
カロリーゼロのスポーツドリンクを勧めています。
OS-1などの経口補水液も常飲はおすすめできません
「スポーツドリンクより経口補水液(OS-1など)の方が体に良いのでは?」と質問されることがあります。
経口補水液は、脱水時の治療を目的として作られた飲み物です。
そのため、スポーツドリンクより糖分は少ないものの、糖やナトリウムを含んでいます。
特に糖尿病の方が自己判断で毎日飲み続けることはおすすめできません。
経口補水液は、医師の指示や脱水時など、本当に必要な場面で利用しましょう。
このような症状があれば早めに受診してください
次のような症状がある場合は、高血糖が進んでいる可能性があります。
- のどが異常に渇く
- 水を大量に飲んでしまう
- 尿の回数や量が増えた
- 体重が急に減ってきた
- 強いだるさが続く
- 吐き気や食欲低下がある
- 意識がぼんやりする
「暑さのせいだろう」と自己判断せず、早めに医療機関へご相談ください。
まとめ
夏は熱中症予防のために水分補給が欠かせない季節です。
しかし、「スポーツドリンク=健康に良い飲み物」と思って飲み過ぎてしまうと、
糖尿病の悪化やペットボトル症候群につながることがあります。
普段の水分補給は、水・お茶・麦茶を基本とし、
スポーツドリンクは大量に汗をかく場面など、必要な時に上手に活用しましょう。
※症状がある場合は自己判断せず、医療機関へご相談ください。
