消化器内科

大腸がんとは? リスク 症状 治療について

大腸がんとは

大腸がんは大腸粘膜上皮に発生するがんです。大腸は結腸(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)と直腸に分かれており、日本人の大腸がんの多くはS状結腸と直腸に発生します。
日本では1年間に約15万人が大腸がんと診断されており、男女ともによく見られるがんの1つです。2020年に発表された人口動態統計がん死亡データでも増加傾向が認められます。

死亡率は、男性では1位:肺がん、2位:胃がん、3位:大腸がんですが、女性では1位:大腸がん、2位:肺がん、3位:膵がんで、死亡率の高いがんです。
しかし大腸がんは早期で発見できれば、5年生存率はほぼ100%とされています。
早期発見、早期治療で大腸がんは根治できる病気です。1年に一度の大腸がん検診を受けることが推奨されています。

大腸がんのリスク

加齢

40歳以上から大腸ポリープの罹患率が上がってくることがわかっています。特に50歳を越えてくるとどのがんでも増えてきます。

喫煙

喫煙指数の高い方で大腸がんのリスクが高いとされています

飲酒

過度なアルコール摂取で大腸がんリスクが高まることが知られています。アルコール換算で25g/日以下の摂取量が望ましいとされます。

肥満

適正体重を維持することが、大腸がんのリスクを下げることが知られています。生活習慣病の予防にもなりますので食事と運動療法が大切です。

赤肉類の過剰摂取

赤身肉(牛肉、豚肉、羊肉など)や加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)などの摂取量が多い方でリスクが上がるとされます。

遺伝

ご家族で、大腸がんになったり、大腸ポリープの切除歴のある場合は、リスクが高いです。

大腸がんの症状

早期大腸がんはほとんど自覚症状がありません。
進行すると、がんは腸壁の深い層へ浸潤し、最終的には大腸から閉塞を引き起こしたり周囲の臓器に広がったりしますが、よほどサイズが大きくならない限りなかなか症状がありません。

サイズが大きくなると出血したり、便の通りが悪くなったりするので便秘になったりすることがあります。また、がんが大腸の中を占拠し始め内腔が細くなるため、肛門の近くに大きながんができると、便が細くなったりします。

大腸がんと大腸ポリープについて

大腸ポリープには、大腸がんのリスクがあるものがあります。腫瘍性ポリープで腺腫と言われるポリープです。
大腸カメラの検査を行い、リスクのあるポリープが見つかった場合、その場で切除することが一番の大腸がんの予防です。

  1. 便潜血検査で陽性が出た方
  2. 40歳以上の方で大腸カメラを受けたことのない方
  3. 大腸ポリープを切除したことのある方

このような方は、大腸カメラ検査を受けて、大腸がん、大腸ポリープの早期発見に取り組まれることをおすすめします。

大腸カメラで大腸がんが疑われたら、見つけ次第切除します

大腸ポリープや早期がんは、日帰り切除します

大腸カメラで、その場で切除が可能なポリープを発見したら、その場で切除します。

日帰り切除ではなく、入院での切除が必要な場合もあります

「大きさ」「切除に伴う出血リスク」「病変の局在位置」などの点を総合的に評価して、日帰り切除とするか、入院して治療するかを決めています。特にがんを合併していると考えられる大きなポリープで一括切除が望ましいケースは内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が必要で、血液をサラサラにする薬を止めることが難しい方なども入院での加療が必要であり、専門施設へご紹介します。

大腸カメラで切除できない、進行がんが見つかった時は

血液検査・病理組織検査・画像検査を行なった上で、治療方法が決まります。抗がん剤や外科手術、放射線治療などが必要です。現在は外科手術は開腹手術だけではなく、腹腔鏡手術やロボット手術なども行われるようになっています。

相談の上で希望される病院へご紹介致します。

大腸がんは、早期発見によって根治が可能です

早期発見・早期治療により、大腸がんは根治できる病気です。しかしかなり進行しないと自覚症状がない病気です。

大腸がん検診(便潜血検査)が陽性であれば、必ず大腸カメラが必要です。

また大腸がんのリスクがある人は、ぜひ相談していただければと思います。

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